Cさんからの電話

そういうものが、きのうの午後早く、オフィスにかかってきた。

結婚後の彼女の住所がわからず、その探索に、いろんな伝手、人脈、弁護士代理人などを頼って探索したが、つかめなかった。

私の知っている、20代の日に何度か送っていったことのある神戸の六甲のご実家が、もうなくなってしまっていることが大きい。

私もCさんも団塊世代で、その親だから、ご健在でも80代後半から90歳前後。おふたかたとも亡くなってしまい、家を畳んで廃屋か更地になってしまった可能性がある。

それで、私という部外者の男性の相談や問い合わせに応じてくれるかどうか確証はなかったのだが、Cさんの母校の首都圏の名門女子高の、必ず存在すると思っていた同窓会全国組織に電話をかけて、こういった。

「50年まえの貴校の卒業生で、私の中学の同級生がいます。ただ彼女は卒業後に神戸に引っ越してしまったので、そこからさらに結婚して転居したその先の、現住所が分かりません。それを知る方法はないでしょうか」

会長だという女性が出てきて、こういった。

「部外者の男性に、会員の卒業生女性の現住所を開示することは出来ません。ただ。貴方のおっしゃる事情は理解できます。そこで、当方が貴方のお名前と電話番号をその相手のかたに伝え、そのかたが連絡されるかどうかはそのかたの自由意志しだい、という方法はいかがですか?」

私は、喜び、感謝して、勿論それで結構です、といった。

約一時間後、Cさんから電話がかかってきた。

「Cです」といい、「たいへん、お久し振りです!」という弾む調子の分かる、私の良く知る、明るく親しみやすい、あのCさんの声だった。

41年ぶり。

最後に会った27歳のときからではそうなのだが、私には、そうは、まったく、思えなかった。